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冷却ファン搭載スマホケース|Xperifan 発明の道のり

      2016/03/29




DSC_0426 (2)

このページをご覧になっているということは、スマートフォンに冷却ファンを取り付けることに少なからず興味があるということかと思います。

このページは、それを実際にやってしまった私が、発明の道のりから完成に至るまでを記録したものです。

少しばかり長くなってしまいますので、手短に見たい方はスマホ冷え冷え。冷却ファン付きスマホケースを自作してみたをご覧になることをオススメします。







最強の冷却性能を目指す!基本・構想設計編

私がXperifanを作ろうと思った同機は単純。スマホが熱いから。

そこまでのヘビーユーザーではありませんが、GPSロガーアプリを起動したり、移動の合間にちょっとしたゲームをしたり…なんてことをしていると、あっという間にスマホがホッカホカになってしまうのです。これはイカン。なんとかせねば。

ふぃれ ホッカホカです。

とりあえず、冷やすための仕組みを考えることにしました。

冷却の仕組みを考える

雪ダルマ

冷やすといってもいろいろな仕組みが考えられます。氷、水、風、はたまたヒートシンク、冷却ファン、CPUのクロック制御、輝度調整…
無限大にあるといっても過言ではありません。

ただし、いくつかに絞ることはできます。
スマートフォンのための装置ですから、ある程度小さいものが望ましいです。いつでもどこでも使えて、繰り返し何度でも使えることも重要です。使わないときは簡単に取り外せて、外出中でも取り外し可能である必要もあります。
そして何より、十分な冷却能力があることが重要です。

以上の条件を踏まえて、私は「冷却ファン」を使ってスマホを冷やすことにしました。

扇風機もちろんこんなに大きなものは使いません。

ファンから送られる風をスマートフォンの背面に当て、CPUから出てくる熱を風に乗せて冷却することにしました。
これならいつでもどこでも使えて、何度でも使用可能です。他の候補に比べれば取り外しも簡単そうです。

ただし、本当に冷却できるのかについては疑問が残ります。風が弱かったり、範囲が狭かったり…条件が悪ければ、スマホの冷却はできません。
特に風量が少ないと、うまく排熱することは絶対にできません。

しかし、実は風量を増やすのはそこまで大きな問題ではありません。冷却ファンは電気で回るため、電圧などを高めたりすることで風量は増やせます。より大きなファンを取り付けることで、さらに風量を増やすことも可能です。

windmill

したがって風量など少しばかりの問題はありますが、あとからでも解決可能であると考え、スマホの冷却にはファンを用いることにしました。

ファンの種類を考える

ただ単に冷却ファンと言っても、いくつか種類があることをあなたはご存知でしょうか?
話を進めていく前に、ファンの種類をちょっとだけ紹介します。

冷却ファンには、風の送り方 ごとに大きく分けて4つの種類があります。

  1. 軸流送風式
  2. 軸流送風式

    一番メジャーな風の送り方です。ファンの回転軸に対して、平行に風を送ることができます。
    強い風を送ることができますが、広範囲に風を送ることはできません。

  3. 遠心送風式
  4. 遠心送風式

    ポンプなどに使われるため、普段はあまり目にしません。ファンの回転軸に対して垂直に風を送ることができます。
    あまり強い風を送れませんが、ファン外周の広範囲に風を送ることができます。

  5. 斜流送風式
  6. ファンの回転軸に対して斜めに風を送ることができます。軸流送風式と斜流送風式の中間のような存在です。

  7. 横断流送風式
  8. 横断流送風式

    エアコンなどに使われる方式です。横長な、帯状の風を送ることができます。
    騒音が大きく、あまり強い風を送ることはできませんが、非常に広範囲に風を送ることができます。

冷却ファンを搭載するうえで、以上の4つの種類から選ぶ必要があります。
それぞれの種類のファンを比較するため、スマホケースに搭載できそうな小型の冷却ファンを購入してみました。その結果、軸流送風式以外のファンはとても風量が少ないということが判明。消去法的に、軸流送風式の冷却ファンを搭載することにしました。

f4010an-05qcw

今回導入することに決定した冷却ファンです。40mm × 40mmという小型なファンながら、必要十分な風量を生み出すことができます。

Model No. F4010AN-05QCW
定格電圧 DC 5V
サイズ 40 × 40 × 10.4mm
定格電流 0.19A
最大風量 0.12m/min
音圧レベル 25db




携帯性について

スマホですから、当然外でも使いたいわけです。あまり大きくしては使いどきが無くなってしまいます。そもそもでか過ぎると、外で使うのに恥ずかしくなりそう。

phonepadasusでかい。

スマホ3つ分くらいまでの厚さなら、なんとか外でも使える気がする。そう勝手に判断し、スマホ本体を含めて厚さは3センチ以内にするよう設計することにしました。
恥ずかしくなったらすぐに外せるように、簡単に着脱可能な仕組みも絶対に必要です。

その他の機能

white-canon-camera1565-1560x1041

連続使用できるように、バッテリーを搭載する必要があります。
簡単に充電できるよう、MicroUSBなどで充電できるようにする必要もありそうです。

防水防塵とか、耐衝撃性とかは無理(+めんどくさそう)なので却下します。

それでは、これまで決めたことを箇条書きにしてみます。
構想設計をまとめると、

  • 軸流送風式のファンで冷却
  • 厚さ3cm以内
  • 簡単に着脱可能
  • バッテリー搭載
  • MicroUSB充電
  • 防水防塵はいらない

といったところです。

せっかくなので、いろいろなスマホで使えるような構造にもします。(後付け)

クールなデザインを目指して。詳細設計&先行研究

xperifanstudy

Xperifanのおおまかな方向性は決まりました。
デザイン・材料・寸法など、さらに細部を設計していく必要があります。

まず私が考えたのはデザインです。

デザインの決定

designっぽいもの

まずは細かな寸法を決める前に、大まかなデザインを決めることにしました。
小さな寸法よりも、パッと見のデザインの方が重要です。

といっても、なかなかいい案が思い浮かびません。
他に冷却ファンを搭載したスマホケースのデザインをパクろうとも思いましたが、そもそもこんなキワモノどこにも売ってません。パクるものが無い。個人などで作成した例はいくつかありましたが、それもあまり多くない。結局自分で考えることになりました。

そんなときのこと、身の回りを整理していたらこんなものが出てきました。

gtx980

PCのグラフィックボード、NVidia GTX980です。
これは、このデザインは使える。そう思った私は、さっそくこのデザインを採用することにしました。

また、多くのグラフィックボードには冷却ファンが付いています。これに便乗して冷却構造も参考にすることにしました。

先行研究

ifan画像:https://mbgadgets.wordpress.com/products/ifan

冷却構造の話をする前に、別の話をする必要があります。
先行研究です。

私自身、スマホを冷却するためにスマホケースにファンを搭載するのは初めてです。しかし、別の目的でスマホケースにファンを搭載したことがあります。

iphane5-photo

上の装置の名前は…残念ながら伏せさせていただきます。
ただ、「iPhone」用ケースに「Fan」を取り付けたことから、想像できる方もいらっしゃるのではないかと思います(iFanでは決してありません)。

上の写真のモノは、iPhoneに取り付ける手汗抑制スマートフォンケースです。
5人で協力し、半年かけて作成したものですが、これの冷却構造をXperifanに応用したいと思います。

xperifan風の流れ単純な構造ですが、このような風の流れの構造とします(上の写真のものは風向きが逆方向)。

この構造については、他の方が血のにじむような努力で試作を繰り返すことで、すでに最適化された構造が判明しています。
数多くの試作品を経て、最も効率的な冷却構造が明らかとなっているのです。

スチレンボード試作品

数多くのスチレンボードによる試作品が、並々ならぬ努力を物語っています。
本当に感謝です。

この最適化された構造に加え、グラフィックボードの冷却構造を参考にすることで、Xperifanの詳細設計を行いました。

詳細設計

手書きで簡単にさらさらーっと

DSC_0440

設計というにはあまりにも雑ですが、めんどうなので妥協。
大体イメージがつかめたら、すぐに電気的な設計に移りました。

回路設計

alana1810-1560x1040

当時機械系の学生だった私には、電気のことなんかこれっぽっちもわかりません。
というわけで、他のものをパクる…オマージュすることにしました。

冷却ファン、バッテリー、スイッチ、充電ICをいい感じに繋げたような回路を構成することにします。

回路図

回路図です。自信ないけど。
これだけ回路が単純であれば、厚さ3センチ以内に収まると思います(多分)。

材料

加工性の良さ、材料費の安さから、アルミ合金を材料とすることにします。
ただし、「先行研究」で説明した冷却構造の画像の中で、緑色の「スマホケース」の部分は市販のケースを流用することにしました。

いよいよ製造目前!部材購入&仕様最終決定

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アルミやネジなどの金属材料はモノタロウで購入。

商品名 金額
アルミ平板 ×2 605 円
(+)ナベ頭小ねじ(ステンレス) 160個入り 744 円
六角ナット 2種(ステンレス) 15個入り 323 円
平ワッシャー(SUS304) 500個入り 535 円
合計金額 2,697 円

塗装材はゴミ箱から拾ってきたのでタダ。ありがとうデザイン科。

f4010an-05qcw 冷却ファンは梅沢無線で購入。
1,500円也。たけえ。

DSC_0671 バッテリー、充電ICはIndoor Airplaneで購入。

商品名 金額
Li-Poバッテリ 130mAh JSTコネクタつき FR130C 1,008 円
リチウム充電器 LPCUSB 1,728 円
合計金額 2,736 円

たった2点で3,000円近くかかりました。電子部品って高い。

そのほかヨドバシで500円くらいのMiniUSB→MicroUSB変換アダプタを購入しました。
ポイント支払いしたのでノーカンってことにしときます。 変換アダプタ

合計金額

6,933 円

高すぎる。
ただ、世の中にはこんな↓スマホケースも売ってることだし多少はね。






仕様

最終的に、以下の仕様で製作することにしました。

  • 軸流送風式冷却ファンでスマホを冷却
  • f4010an-05qcw
  • バッテリーを搭載し、USBで簡単充電
  • 回路図
  • グラフィックボードっぽいデザイン
  • gtx980
  • 材料はアルミ合金と市販のスマホカバー
  • mono09682443-080708-02
  • 全長150mm, 幅75mm, 厚さ25mm
  • 連続稼働2時間
  • 市販のケースを使うことで簡単に着脱可能な構造






フライス盤でガリガリ。製造過程はコチラ

DSC_0426 (2)

まずはアルミ板の加工から。その辺に落ちてたアルミ板を拾い、フライス盤やスケアシャーででいい感じの大きさに加工していきます。

DSC_0430 中央が窪んだ、長方形のアルミ板に加工しました。

さらにファンの送風口として丸い穴を加工し、両サイドに固定用の雌ねじを切っていきます。

DSC_0443

とここで、「メキメキッ」という音が。

ん?

DSC_0445 (1) ↑明らかに折れているタップ。

やべえ、壊しちゃった。
研究でも何でもないのに備品を壊していくスタイル。

タップって一ついくらくらいするんだろう…と急に不安になる自分。

壊れたことを報告して、とりあえず作業を進めます。

DSC_0661

とりあえず土台を完成させました。
この上にスマホを乗せ、背面にファンを取り付けることで冷却しようという魂胆です。

次に外装部分の作成に取り掛かります。

DSC_0465

購入したアルミ板に大小の穴をあけます。大きな穴はファンの吸気口、小さな穴は先ほど加工したねじ穴と固定する穴です。
これを曲げ機で曲げ加工します。

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角度を測りながら、慎重に曲げていきます。
ガチの手作業は楽しいです。

DSC_0470 (1)

曲げ終わりました。
次に、グラフィックボードの銀色の部分(下図)を作ります。

コの部分

購入したアルミ板を帯鋸盤で加工し、曲面を金やすりで作っていきます。

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やすり掛けのあとに曲げ機で折り曲げて…

DSC_0662

外装部分は完成です。
これだけ見ると、頑張った感が出てる気がする。

今度は色を塗っていきます。
まずは外装の下地として、プラサフを塗っていきます。

DSC_0672

プラサフを塗ることによって塗装の色乗りが良くなり、防錆効果や耐久性が向上します。

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さらに黒色で塗装しクリアーで仕上げ。
若干凹凸がありますが、気にしたら負けです。

回路の作成

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冷却ファン、充電IC、バッテリー、スイッチを繋げていきます。

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充電ICは充電中に発光し、充電が終わると消灯します。便利ですね。
充電端子はもともとMiniUSBでしたが、変換端子を使ってMicroUSBで充電できるようにしてあります。

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スイッチは適当に見繕ったものを採用。プッシュ式で、押している最中のみファンが駆動します。 いい感じの場所に配置することで使用中は意識せずに押し続けられるように配慮。

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大体の場所を決めたら、最後に導線を接続します。
はんだごてが自宅にないので代わりに圧着端子を使用。

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ビニールテープで絶縁したら完成です。

組み立て

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市販のスマホケースの裏にアルミ板を固定。アルミ板には雌ねじが切ってあります。
これで着脱可能なユニットになり、いろいろなスマホに対応できるようになります。

DSC_0693

上から見るとこんな感じ。ネジで簡単に着脱可能です。

DSC_0690

下部を覗き込んだ写真です。アルミとスマホケースの隙間に風が流れ、排熱を行います。

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側面図。このねじ穴で外装部分と固定します。

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最後に外装をネジで固定したら完成!

完成品お披露目&感性評価

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背面です。
手前側の少し出っ張っている部分がスイッチで、押すとファンが回転。スマホを冷却します。

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スマホ側の面です。横幅は75mm, 長さは150mmくらいで厚さは25mmになりました。
片手操作は余裕です。

感性評価

定量的な評価が難しいので、とりあえず感性評価を。

持ちやすさ、操作のしやすさ、着脱性は良好です。冷却性能については、以前はGPSロガーとゲームを同時起動すると本体上部があっつあつになりましたが、かなり改善されました。
そこそこ冷えているのだと思います(多分)。

ただ一つ、気になる点が。
ファンを回転させると、いきなり「ブォー」という風切り音が発生してしまいます。
周りがそこそこうるさい環境だと気になりませんが、静かだとかなり目立ってしまいます。

ぶっちゃけ恥ずかしい。
(そもそもこれを持ち歩く時点で恥ずかしい気もするが…)

それ以来、ずっと家で留守番係なのでした。そもそもでかくて持ち歩くのめんどいしね。

スマホが熱くて困っている方で、インドア派の方は作ってみてはいかがでしょうか?

写真 2016-03-29 10 01 20 (1)

簡単な流れは下記記事を参照ください。

スマホ冷え冷え。冷却ファン付きスマホケースを自作してみた

はじめに 私たちが普段何気なく使うスマートフォン。近年、このスマートフォンの性能は著しい成長を遂げており、特に…

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