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Xperiaの歴史 – 2012年

2012年

2012年と聞くと、あなたは何を思い浮かべますか?

東京スカイツリーが完成したり、北九州でロケットランチャーが見つかったり、世の中いろいろありましたが、スマートフォン業界も2012年にいろいろありました。

例えば、日本向けに防水Xperiaが初めて発売されたり、HDディスプレイがついに登場したり、新たな通信方式のLTEが登場したり・・・・・。
パズドラがリリースされたのも2012年です。

伝説のハイスペックカイロ、Arrows X F-10Dが登場したのも忘れられませんね。

bakunetsu-arrows不具合全部入りとまで言われたArrows X F-10Dは、“アホーズ”で検索してみてください。

そんな “いろいろあった” 2012年のXperia、詳しく見ていきましょう。
(ちなみに、2012年はXperiaの種類が最も多い年です。)

Xperia NX (Xperia S)

スペック
OSAndroid 2.3
SoC (CPU)Qualcomm Snapdragon S3 Dual-core 1.5GHz (MSM8260)
メモリ1 GB
ディスプレイ4.3 インチ 1280 x 720 ピクセル
ストレージ32 GB
サイズ128 × 64 × 10.6 mm
重量144 g

「エンタテイメントが、美しく進化する。」

2012年2月、Xperiaはこれまでにないほどの進化を遂げました。

新しいCPU、鮮明になったディスプレイ、そして従来の32倍ものストレージを持つスマートフォン、Xperia NX (SO-02D)が発売したからです。

海外では Xperia S という名前で発売されました。

従来機種から比べ物にならないほどスペックが向上し、デザインも大きく変化。
特徴的な画面下部の”Floating Prism”は、着信時や操作時にLEDの静かな輝きを放ち、3つのアイコンが浮かび上がります。

気になるスペックですが、CPUが第3世代SnapdragonであるQualcomm MSM8260 Snapdragon S3 1.5GHz Dual coreに進化。
ついにスマートフォンのCPUがマルチコア化しました。

そしてメモリがこれまでの倍の1GBに、ストレージはこれまでの32倍である32GBに大幅増加しました。

またXperia史上初、4.3インチ 1280×720ピクセル HDディスプレイを搭載し、初代Xperia X1から全く進化していなかったディスプレイの解像度が大幅に進化しました。

OSについては、発売時はAndroid 2.3でしたが最終的にAndroid 4.1までアップデート。これ、当時としてはかなりサポート期間が長かった。
※ただし国内版は、おま国仕様でAndroid 4.0でサポート終了。

そしてAntutuベンチのスコアは、従来機種から大きく上昇し約6,700を記録しました(Antutu v2)。
海外版のXperia Sでも同程度のスコアを記録しています。

このスコア、実にXperia acroの2倍以上です。
CPUのマルチコア化がいかに革命的だったかがよくわかる機種ですね。

詳細はSONYの公式ページで確認できます。
>> Xperia NX (SO-02D) – ソニーモバイルコミュニケーションズ

▲TOP Xperiaの歴史 – TOP 発売年表 Antutuスコア比較 画面サイズ比較

Xperia acro HD (Xperia acro S)

スペック
OSAndroid 2.3
SoC (CPU)Qualcomm Snapdragon S3 Dual-core 1.5GHz (MSM8260)
メモリ1 GB
ディスプレイ4.3 インチ 1280 x 720 ピクセル
ストレージ16 GB
サイズ126 × 66 × 11.9 mm
重量149 g

「私の毎日が、進化する。」

Xperia史上初、日本向けの防水端末として発売された Xperia acro HD。
先に登場紹介したXperia NXと同じくフラッグシップモデルですが、コチラは当時3種の神器と呼ばれるほど国内ニーズの高かったワンセグ、おサイフケータイ、赤外線通信にフル対応したモデル。

ドコモ・auから発売され、共に2012年3月に発売されました。
発売時点でのAndroidバージョンは2.3を搭載。

「スマートフォンが初めてのユーザーにも、安心して、納得して使ってもらえる。」という売り文句のacro HDは、

  • ラウンドフォルムで持ちやすいデザイン
  • 操作性に配慮した形状
  • (当時としては)大容量の1840mAhバッテリー

などカタログスペックでは目立たないユーザービリティにも配慮。

デザインにあたっては普遍的なフォルムながら、3種の神器や防水に対応しつつ厚さはXperia acroから0.1mmしか増えていない。

ソニーエリクソンで商品企画を担当した黒住さん曰く、デザインでは

「とにかく無駄をそぎ落とすこと」

を重視したとのこと。

これは従来機から高性能化・大型化が進み、これまでのガラケー等では考えられなかったようなコンテンツを楽しめる環境になったことで、スマートフォンでのピュアなユーザー体験を作り出したいという開発の考えがあったから。

ボディ周囲を巡る金属調フレームを除けば、無駄な装飾が無いシンプルなデザインとなりました。

ちなみにこのXperia acro HD、海外では Xperia acro S という名前で発売されていました。

立ち位置的にはacro HDのマイナーチェンジモデル。
国内ニーズの高い3種の神器は非対応で、防水防塵・HDディスプレイを前面に売り出したモデルです。

発売時点でAndroid 4.0を搭載していたり、バッテリー容量が国内モデルより多かったりするなど微妙な違いが見られました。

ちなみに本モデル、デザインやスペック、機能がバランス良く纏まっていたからか、国内外問わず評価が高く、数多く販売されました。

特に国内では競合他社のモデルが

「不具合全部入り」

と言われる始末で、Xperia acro HDが国内メーカーの中ではぶっちぎりでトップの販売台数を獲得。
他モデルにはない安定した品質も市場からの高評価の一因のようです。

ちなみに話は脱線しますが、”不具合全部入り”と呼ばれたのは富士通のARROWS X。

色々な異名を持ち、

  • 不具合全部入り
  • ハイスペックカイロ
  • アホーズ

などなど、当時は散々な言われよう。
カタログスペックだけでは市場に受け入れられない、その最たる例かと。

当時はガラケーからの乗り換え先としてXperia acro HDか、このF-05Dにするか悩む方が非常に多かった。

話を戻してXperia acro HDのスペックについてですが、ほとんどXperia NXと変わりありません。
CPUはSnapdragon S3 1.5GHz Dual-core、メモリ1GB、ディスプレイは4.3インチ 1280×720ピクセル HDディスプレイ。ここまではXperia NXと共通。
ストレージはNXと比べて半分の16GBですが、NXでは使用できないMicroSDカードにacro HDでは対応しています。

ドコモ・au版はAndroid 4.0までアップデートされ、海外版はAndroid 4.1までアップデートされました。

残念ながらLTEには対応していないですが、長くこの機種を使っていたという方も多くいるのではないでしょうか。

Antutuベンチのスコアはおよそ6,400。これは同Snapdragon S3搭載のXperia NXとほとんど同じスコア。
これでも当時はフラッグシップモデルとして発売されていたことを考えると、時代を感じずにはいられない。

当時の公式サイトを見てみると…

HD画質の動画をスムーズに再生できることが高スペックの証だった時代の話です。

>> Xperia acro HD (SO-03D) – ソニーモバイルコミュニケーションズ

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Xperia ion

xperiaion

2012年6月、海外でXperia初めてのLTE対応端末、Xperia ionが発売されました。

基本的なスペックはXperia acro HDと同様で、ガラパゴス機能を省いてLTE機能を付けたような感じの機種です。

CPU、メモリ、ストレージはacro HDと同様、ディスプレイが4.55インチHD液晶に変更となり、少し画面が大きくなりました。

Antutuベンチのスコアは約6,600。
CPUは前機種と同じですので、妥当なスコアでしょう。

詳細なスペックは公式のWhite paperから見ることができます。
>> Xperia ion – White paper | Sony

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Xperia P

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2012年5月、Xperiaの廉価版モデルである Xperia P が海外で発売されました。

珍しいSoCであるST-Ericsson製 NovaThourが使用されており、CPUには1GHz Dual-core ARM Cortex-A9が採用されています。
ミッドレンジといった感じですね。

ちなみにNovaThourとはST-Ericssonが開発したSoCで、Uシリーズ、Aシリーズ、Lシリーズなどの種類があります。

ST-Ericsson社は最近赤字で合弁会社を解消しており、Wikipediaを見るとその経緯を知ることができます。

またNovaThourのWikipediaを見ると、同社のSoCがいかに売れていなかったかがよくわかります。
最後の方の製品は出荷すらされていません。

話が脱線しましたが、このNovaThour (U8500)を搭載したXperia P、ミッドレンジながらそこまでスペックは悪くありません。

CPUは先ほどの1GHz Dual-core、メモリ1GB、ストレージ16GB、4インチ540×960ピクセルのディスプレイを搭載しています。

Antutuベンチのスコアは約5,000。
当時のミッドレンジモデルとしては優秀なスコアです。

>> Xperia P – Full phone specificasions | GSMARENA

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Xperia U

xperiau

2012年5月、Xperia Pの廉価版である Xperia U が海外で発売されました。
廉価版の廉価版ですね。

Xperia Pと同じくST-Ericsson製SoC NovaThourU8500を採用し、メモリが512MBに減少、ストレージが8GBに減少、ディスプレイは3.5インチ480×854ピクセルへと変更になりました。

搭載OSも変わらず、Android 2.3を搭載しています。
後にAndroid 4.0までアップデートされました。

Antutuベンチのスコアはおよそ5,300。
少しだけXperia Pから向上しています。

>> Xperia U – Sony

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Xperia sola

xperiasola2

ミッドレンジモデルとしてソニーモバイルから発売されたXperia sola

普及拡大を狙ったモデルながらデザインはかなり前衛的なスタイリング。
特にディスプレイ周りにはこだわりがあるようで、ベース面との分離型デザインやイルミネーションランプをあえて目立つロゴ周りに搭載するほど。

このスタイリングは後継機種のXperia Jに継承されています。
Xperia NXから続く当時のXperiaでは、ハードウェアキーがディスプレイ下に搭載してあり、ディスプレイの誤タッチが多いことが問題でした。しかしXperia solaではこの段差のおかげで誤タッチが少なくなっており、非常に評判がよかった。

Xperia solaは従来とは一線を画す機種で、筐体が完全新設計されたXperia。

ソフトウェアも従来とは一線を画していて、モーションセンサーやNFCなどかなり前衛的…もとい、面白い機能を持ってる。

特に特徴的なのはフローティングタッチ機能。

これはブラウザなどの操作を、指を浮かせた状態で行える機能。

要は画面をわざわざスライドせずともスクロールしたりハイライト表示できる機能なんですが、なんだか無意味そうな新しい技術をどんどん搭載するのは一昔前のSONYらしさがあっていいですね。

もうひとつ面白い機能がNFC。

「NFCとはなんぞや。」

という声が多く聞かれた当時、”こう使うんだ!”とでも言わんばかりにNFCタグを同梱発売。
これってすごいことだと思います。

しかもご丁寧にNFCの取り扱い説明書を同梱している。

公式Youtubeチャンネルではわざわざ使い方の説明動画も用意。

もしかすると、この後すぐに発売されるXperia Zへの布石だったのかもしれません。

コンセプトは「get entertained with a sense of magic.」

直訳すると、”魔法の感覚で楽しめる”。

一見するとただの前衛的なスマートフォン。
その実、開発者の”挑戦”と”遊び心”がたくさん詰まったスマートフォンだったんです。

発売日2012年5月
発売価格 約30,000円
Antutuベンチスコア(v2)5,300
関連サイトXperia sola – Full phone specificasions | GSMARENA

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Xperia Neo L

xperianeol

2012年6月、Xperia Neo Vの後継機種、Xperia Neo L が発売されました。

Xperiaで初めてのAndroid 4.0を搭載した機種です。

しかしスペックはあまり良くなく、ミッドレンジ – エントリーモデルとして発売されました。

問題のスペックですが、CPUにQualcomm MSM8255 Snapdragon S2 (Single-core) 1.0GHzを搭載、メモリ512MB、ストレージ1GB、4.0インチ480×854ピクセルのディスプレイを搭載しています。

Xperiaで初のAndroid 4.0を搭載した機種でしたが、スペックがネックになったのか一度もOSアップデートはありませんでした。

Antutuベンチのスコアはおよそ3,000。
CPUがシングルコアであることに加え、1.0GHz駆動なのでスコアが悪いのだと考えられますが、2010年4月にdocomoから発売されたXperia (SO-01B)と同等レベルと聞くと若干驚きを感じてしまいます。

>> Xperia Neo L – White paper | Sony

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Xperia go

xperiago

2012年7月、海外向けの防水Xperia端末である Xperia go が発売されました。
ゲームパッドはついてません。

いわゆるミッドレンジモデルで、スペックはあまり良くありません。

CPUはXperia P / U / sola に搭載されていたSoCのST-Ericsson製 NovaThour U8500に搭載されている、Dual-core 1.0GHz駆動のCPUです。

ちなみに本機種は、Xperia最後のST-Ericsson製SoCが搭載された機種になります。
同社のSoCはあまり良くなかったんですかね。

メモリ512MB、ストレージ8GB、3.5インチ 320×480ピクセルのディスプレイを搭載していました。

またLTEには非対応、搭載OSはAndroid 2.3です。

Antutuベンチのスコアは5,500程度。
他のST-Ericsson製SoC搭載モデルとほとんど変わりません。

>> Xperia go – Full phone specificasions | GSMARENA

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Xperia GX (Xperia TX)

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日本で史上初のLTE対応Xperia、Xperia GX (SO-04D)が2012年8月、ドコモより発売しました。
海外ではXperia TXという名前で発売しています。

Xperia acro HDではあった防水・ワンセグ・赤外線機能は無くなってしまったものの、その代わりに数多くの点が進化しています。

スペックですが、CPUにQualcomm MSM8960 Snapdragon S4 Plus Dual-core 1.5GHzを搭載しています。
Snapdragon S3の時代は一瞬で終わり、ついに第4世代のSnapdragon S4の時代へ突入です。

そしてこれが、長い長いSnapdragon S4時代の幕開けとなります。

本機種は日本向けXperiaで初めてAndroid 4.0を搭載した機種です。
Android 4.0と聞くと、一つの節目を超えた感がありますね。

その他メモリ1GB、ストレージ16GB、4.6インチ1280×720ピクセル HDディスプレイを搭載しています。

また日本向けXperiaにおいて、この機種からロゴが「Sony Ericsson」ではなく「SONY」に変更となりました。
海外版XperiaではXperia S (Xperia NXの海外版) から「SONY」ロゴに変更されています。

本体形状はXperia arc以来のアーク形状を採用しており、側面にラインを入れることで視覚的に薄く見せています。

なお本機種から、日本向けXperiaでは「戻る・ホーム・タスク」の各種ボタンがディスプレイ上にソフトウェアキーとして搭載されるようになり、物理キーはすべて撤廃されました。

気になるAntutuベンチのスコアですが、約7,000を記録しています。
Snapdragon S4と聞くと性能が飛躍的によくなったと思う方も多いかと思いますが、初期は意外とよくありません。

なお海外版Xperia GXはXperia TXという名前で発売しており、その兄弟機として Xperia T という機種も発売されています。

Xperia TはCPU・メモリなどの主要なハードウェア構成がXperia GXとほとんど同一で、外見のみ異なっています。

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Xperia GXの詳細はSONY公式ホームページから確認できます。
>> Xperia GX (SO-04D) – ソニーモバイルコミュニケーションズ

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Xperia SX

xperiasx

2012年8月、ガラパゴス機能を搭載した Xperia SX (SO-05D)がGX発売の翌日にドコモから発売されました。
海外では発売されていない、日本限定モデルです。

Xperia SXは、Xperia GXには搭載されていないワンセグ・赤外線を搭載し、若干スペックが落とされ小型化された機種です。

CPUはGXと同じくSnapdragon S4 Plus Dual-core 1.5GHz、メモリも同じく1GBですが、ストレージが8GBに減少、ディスプレイは3.7インチ960×540ピクセルへと変更されています。

なおOSはXperia GXと同じくAndroid 4.0を搭載し、Android 4.1までアップデートされました。
当然ながらLTEにも対応しています。

重量95グラムと非常に軽い特徴的な機種ですが、GXほどは売れませんでした。
(それでも他の国内機種よりは圧倒的に売れたようです)

なお、Antutuベンチのスコアは7,000程度。
Xperia GXとほとんど変わりません。

>> Xperia SX (SO-05D) – ソニーモバイルコミュニケーションズ

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Xperia Tablet S

OS Android 4.0
SoC (CPU) Nvidia Tegra 3 1.3 GHz Quad-Core
メモリ 1 GB
ディスプレイ 9.4 インチ 1280 x 800 ピクセル
ストレージ 16 / 32 / 64 GB
サイズ 240 × 174 × 11.9 mm
重量 570 g

「いつもそばに置く。使う。」

ブランド名がSony TabletからXperia Tabletに変わったTabletシリーズ。
第一弾はその名も”Xperia Tablet S”。

Xperiaブランドへの変更で開発メンバーがほとんど入れ替わった結果、前衛的でスタイリッシュなデザインに。

裏面を折り返したような独特なデザイン。

これは先代のSony Tabletを踏襲したもの。”徹底的な薄型化”をテーマとして開発し、強度や質感、防滴仕様を盛り込んだ結果生み出されました。

厚さの比較。左:Xperia Tablet S 右:Sony Tablet S 出典:ITmedia

厚さは先代Sony Tablet Sが20.6mm、対してXperia Tablet Sが11.9mm。約半分の薄型化に成功しています。

加えて、Xperia Tablet Sの最厚部は本体上部の一部分のみ。実際には数値以上の薄型化に成功しています。

 出典:ITmedia

本体上部の分厚い部分(黒い部分)にはメイン基板が、薄くなっている部分にはサブ基盤とバッテリーが配置されています。

本体薄型化の要因としては、液晶モジュールの薄型化やバッテリーの薄型化が大きかったんですが、特に薄型化に貢献したのはバッテリー。

容量は5000mAhから6000mAhに増えているにもかかわらず、厚さは6.55mmから3.25mmへ。なんと半減しています。

なぜここまで薄くできたのか?
そんな問いに対し、商品設計部の清水さんは、

「最も大きいのは設計思想の違いです。」

と回答されています。

VAIO&Mobile事業本部 Tablet事業部 商品設計部 清水俊秀氏(電源設計・バッテリー開発導入担当)商品設計部の清水さん 出典:ITmedia

先述した通り、Xperia Tablet Sの開発チームには様々な部署の人が寄せ集められています。
上の清水さんはウォークマンの開発チームから来たそうですが、実はバッテリーの薄型化にはウォークマンの開発経験が活きているそう。

形状や配線を工夫してバッテリー本体を薄型化したのはもちろんのこと、難燃性や強度といった安全性の担保の仕方や、バッテリーの温度を検知する温度計の配置方法など、様々な手法で薄型化を実現しています。

バッテリーは容量に寄与しない部品を極限までそぎ落としている。中央に大きく配置されたバッテリーは、本体カバーとセットで難燃性や強度を確保する構造だ(写真=左)。バッテリーの温度センサー(オレンジ色の細いケーブル)も本体側に逃がしている(写真=右)バッテリーは中央に配置。本体カバーとセットにすることで安全性を確保している。 出典:ITmedia

これはバッテリー開発とメカ設計が密に連携したことが大きいようです。

本体の薄型化はこのバッテリー開発の賜物なんですが、実は液晶モジュールの薄型化も侮れない。

LEDバックライトの導光板の部分を薄型化しています。併せて液晶の駆動方式も変えたそう。
”ドット反転駆動”から”カラム反転駆動”に変更したんですが、実はこの駆動方式の変更がすごい。

三洋、TFT駆動改良で携帯向け液晶消費電力半分に - ITmedia Mobile出典:SANYO/ITmedia

何がすごいって、実は液晶の消費電力が1/3に低減しているんです。
スマホやタブレットの消費電力の大半を占める画面表示。その消費電力が激減したということ。
併せてバックライトの制御方式も変更しており、コチラは消費電力が2/3に低減。

これにより開発陣はもとよりユーザーも気にしていた電池持ちがかなり良くなった。
先の清水さん曰く、

「先代機に比べて、スタンバイ時では約50%、動作状態は内容によるので一概には言えませんが、ざっくり約30%の電力カットができています。」

と仰るほど。

ただ、電池持ちに寄与したのは液晶画面やバックライトだけではありません。
加えて注目してほしいのは液晶のタッチセンサー。

VAIO&Mobile事業本部 Tablet事業部 商品設計部 四竈真理氏(タッチパネル設計担当)タッチパネル設計担当の四竃さん 出典:ITmedia

開発にあたり様々な制御チップを泥臭く評価し続け、最適なものを探したそう。先代機に比べて消費電力を1/3程度に抑えることができています。
そして消費電力は抑えつつも、

「タッチパネルの精度は逆に大幅に向上させています。」

と仰るのはタッチパネル設計担当の四竃さんという方。

今回の開発にはウォークマンやナビの開発者がメインで携わっており、細かな電気系統やデバイスのブラッシュアップなど、これまでの経験を生かした地道な最適化が結果に出ているようです。

加えてタッチパネルの触り心地にもこだわっていて、表面の飛散防止フィルムを取り払っています。
これはガラスの強度を高め、フィルムが無くとも割れたときにガラスが飛散しないよう設計が頑張った結果だそう。
結果、製品発表時に市場にあるタッチパネルデバイスの中で、このXperia Tablet Sが最も摩擦が低いという調査結果が出たようです。


当時のスマホには飛散防止フィルムが貼ってあることが多かった。写真はSO-03D。

ちなみにXperiaおなじみの音響処理のイコライザやClear Audio機能ですが、本機にももちろん搭載されています。
ただしこれにも一苦労が…

実は当時のAndroid OSでは高音質化処理が実装できませんでした。
これは当時最新OSのAndroid 4.0がオーディオに対する制限が多く、音響処理の自由度が低かったため。

この問題はAndroidを搭載するほかのスマホでも同様で、Android 8.0で”AAudio”というAPIが実装されるまで続くわけですが…
ここでSONYは独自路線を切り開きます。

オーディオ機器で定評のあるS-Masterデジタルアンプを採用したほか、音響処理専用のDSPを搭載、Androidシステム外で処理することで無理やり高音質化を達成しました。

Xperiaおなじみのイコライザ。写真はXperia XZ2 Premiumのもの。

ちなみにDSPは一言でいうと”音楽を処理する専用のコンピューター”のこと。要はAndroidでは処理できないので、もう一個音楽を処理する専用コンピューターを載せちゃいましたってことです。

これにより、おなじみのイコライザやClear Audio+が搭載できたんですね。

ついでにXperia Tablet Sに採用されているCPU、Nvidia Tegra 3で音響処理するよりも電力効率が良いため、省エネにもなったそうです。

Androidシステムの外で信号処理を行うDSP(基板中央の黒いチップ)は、わずか2×2.5ミリのチップだ(写真=左)。DSPは200MIPSの処理性能があり、消費電力も非常に低く、効率的に効果的な音響効果を生み出せるという。設定画面からClear Audio+にチェックを入れるだけで、音楽再生におすすめの設定を適用してくれる(画面=右)写真中央部の黒い部分が音響処理専用のDSP。 出典:ITmedia

カタログスペックだけ見るとXperia Tablet Sはそこまで目立ちませんが、デザインや電池持ち、オーディオ性能といった、地道な部分をしつこく作りこんでいるのがわかります。

性能が尖っているわけではありませんが、Xperia 1のように狭い範囲のユーザーには心に突き刺さる機種ではないかと。

手に取って、使ってみるとわかる凄さが詰まったXperia Tablet S。

「そういうものを目指してきましたし、実際にそういうものができました。ぜひ体感してください。」

そうおっしゃるのは開発陣の方々。

惜しむらくは、その機会があまりにも少ないことではないでしょうか。

発売日2012年9月
発売価格 約40,000円
Antutuベンチスコア(v3)11,000
公式サイトXperia Tablet S – ソニーストア

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Xperia Tipo / Tipo Dual

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2012年9月、超小型スマートフォン Xperia Tipo が海外で発売されました。
Xperia史上初のDual SIMモデル、Xperia Tipo Dual も同月発売です。

TipoとTipo Dualの違いはデュアルSIM対応かどうかの差異のみ。

この機種はローエンドモデルとして発売され、スペックが大幅に削られています。

注目のスペックですが、CPUはまさかのSnapdragon S1を搭載しています。
Qualcomm MSM7225AA Snapdragon S1 Single-core 0.8GHzを搭載、メモリ512MB、ストレージ2.9GB、3.2インチ 320×480ピクセルのディスプレイを搭載しています。
LTEにも非対応です。

OSはAndroid 4.0搭載ですが、当然ながら1度もOSアップデートされませんでした。

気になるAntutuベンチのスコアはおよそ2,600。
Xperia arc以下のスコアですが、販売価格が1万2千円前後なので妥当なスコアですね。

>> Xperia Tipo dual – Sony Xperia (UK)

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Xperia miro

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2012年9月、Xperia miro が海外で発売されました。

CPUはTipoから変わらずSnapdragon S1 0.8GHz、メモリ512MB、ストレージ4GB、3.5インチ 320×480ピクセルのディスプレイを搭載しています。
Xperia Tipoを少しだけ大きくして、ちょっとスペックを上げた感じの機種ですね。

他にもフロントカメラが搭載されたりLEDフラッシュが搭載されるなど、カメラ周りが強化されています。

Tipoと同様にAndroid 4.0からアップデートされることはありませんでした。

Antutuベンチのスコアは3,000。
Snapdragon S1ならこんなもんでしょう。

>> Xperia miro – White paper | Sony

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Xperia SL

xperiasl

2012年9月、海外でXperia S (海外版Xperia NX)の後継機、Xperia SL が発売されました。

4.3インチHDディスプレイや1GBのメモリ、32GBのストレージはそのままに、CPUがパワーアップされています。

搭載されているCPUはSnapdragon S3 Dual-core 1.7GHzです。
Xperia GX / SXなどに搭載されているSnapdragon S4ではありませんが、クロックが過去最高の1.7GHzになっています。

またXperia Sとは違って、初めからAndroid 4.0が搭載されています。

ただしLTEには対応していません。

気になるAntutuベンチのスコアですが、7,100を記録しています(Antutu Ver2.X)。
旧世代CPUであるSnapdragon S3であるにもかかわらず、Xperia GX / SXとほとんど変わらないスコアです。

クロックの力って偉大。

ちなみにこの頃Antutuベンチアプリがv3.Xにアップデートされ、これまでよりスコアが高くなるようになりました。

新しいAntutuベンチ(Antutu Ver 3.X)で計測したXperia SLのスコアは約8,900です。
アプリの更新によっておよそ1.25倍ほどスコアが上昇するようですね。
(以降のXperiaのスコアは、更新後のAntutuベンチアプリ(Ver 3.X 以降)を使用したスコアになります)

>> Xperia SL – Full phone specificasions | GSMARENA

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Xperia J

xperiaj

Xperia J1ではないですよ。

2012年10月、海外で Xperia J が発売されました。

ローエンド・エントリーモデルに位置づけられる機種で、スペックはあまり高くありません。
Xperia miroを少しスペックアップさせたような感じです。

CPUはSnapdragon S1 Single-core 1.0GHz、メモリ1GB、ストレージ4GB、4.0インチ 480×854ピクセルのディスプレイを搭載しています。
LTEには対応していません。

ローエンドモデルとしては珍しく、Android 4.1へのアップデートが行われました。

Antutuベンチ(Ver 3.X)のスコアはおよそ4,200。
旧Antutuベンチ(Ver 2.X)のスコアでは3,500ほどです。

ローエンドにしては上出来なスコアかと思われます。

>> Xperia J – Sony Xperia (UK)

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Xperia AX / VL (Xperia V / VC)

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2012年11月、Xperia AX (SO-01E)がドコモから、Xperia VL (SOL21)がauから、Xperia VC が中国から、Xperia V が海外で発売されました。

謎に多くの種類がありますが外見はどれもほとんど同じで、基本的なスペックもほとんど変わりません(Xperia VCのみLTE非対応)。

スペックですが、CPUはSnapdragon S4 Plus 1.5GHz、メモリ1GB、4.3インチ 1280×720ピクセル HDディスプレイを搭載しています。

ストレージは国内向けモデルが16GB、海外・中国向けモデルが8GBとなっており、国内向けモデルのみワンセグ・赤外線・おサイフケータイ(FeliCa)に対応しています。
このころから国内向けモデルの特別扱いが顕著になってきました。

当時はスマホに赤外線機能を欲しがる方が多かったので無理もありませんが・・・・・。

Xperia GXのようなアーク形状を採用しているのが特徴です。
よく見ると、Xperia恒例だったシャッターボタンがありません。

なお上の写真はXperia VLの外観です。
ドコモ版のXperia AXではSONYロゴの代わりに「docomo Xi」のロゴが入ります。

Antutuベンチのスコアはおよそ11,000とXperia GX / SXから大幅アップ。
しかしAntutuベンチアプリがv3.Xへ更新されているため、従来の機種よりもスコアが高くなっています。

旧Antutuベンチのスコアは7,000程度ですので、スペック的にはXperia GX / SXや、Xperia SLとほとんど変わらないと考えられます。

>> Xperia AX (SO-01E)- ソニーモバイルコミュニケーションズ

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