2020年
2019年度は210億5,700万円の最終赤字を叩き出してしまったモバイルコミュニケーション事業。
前年度から赤字額は減少しているものの、依然SONYのお荷物になっている感は否めません。
一方コロナ禍による巣ごもり需要で堅調な利益を出し続けるゲーム事業は、PS5の発売やPS Plusの会員数増加等、明るい話題で持ち切りです。
2020年度(Q2)はコスト増加による減益が見受けられるものの、売上高の大幅な増加(1,000億円)の見通しとなっています。
一方モバイルコミュニケーション事業は苦戦を強いられ続けています。これはコロナ再拡大によるサプライチェーンへの影響が発生しているためで、予断を許さない状況が続いています。
決算説明会では、コロナ禍で注目を浴びているリモート需要などを見据え、将来の成長への仕組みに取り組んでいく…と締めくくっています。
そんな将来を見据えた、2020年のXperiaたちを見ていきましょう。
Xperia L4
OS | Android 9.0 |
SoC (CPU) | Mediatek MT6762 Helio P22 2.0GHz Octa-Core 64bit |
メモリ | 3 GB |
ディスプレイ | 6.2 インチ 1680 x 720 ピクセル |
ストレージ | 64 GB |
サイズ | 159 × 71 × 8.7 mm |
重量 | 178 g |
「See the bigger picture」
先代L3の後継機種として発売されたXperia L4です。
日本では発売されず欧州限定で発売されました。
1年ぶりのモデルチェンジで変わった点を挙げてみると
- ストレージ増加 (32 GB → 64 GB)
- ディスプレイ拡大 (5.7″ → 6.2″)
- 21:9 シネマワイドディスプレイ搭載
- ノッチデザイン採用
- 背面カメラ増加 (2眼 → 3眼)
- バッテリー容量増加
などの改良が見られます。
薄々感づいている方もいると思いますが、L4は先代L3からのマイナーチェンジが今回の目的になっており、CPUやRAMが据え置きの為か先代より6,000円ほど安くなっています。
大きく変更されたのはディスプレイですが、見てわかる通り水滴型のノッチが採用されました。
何気にXperia史上初の採用で、これまで一貫して
「ノッチは付けない」
と断言していたソニモバ上層部の方針からすると異例のことかと。
「もう、コンテンツのためのものならば、比率もコンテンツにあわせてしまおうと考えました。ならば、広げるならば21:9。そうでなければ16:9です。21:9だと決めてしまうと、みんな燃えるんですよね。なら、コンテンツを汚しちゃいけない。画面上にノッチはつけないし、穴もつけない。『白いご飯は汚さない。コンテンツには穴を空けない』です」
https://www.businessinsider.jp/post-186061
3眼カメラ含めどこか中途半端にトレンドを追いかけた結果に見えてしまいますが、これもSONYのひとつの挑戦なのかも。
カメラ性能に難があるようですが、価格も相まって市場の評価は上々のようです。
発売日 | 2020年4月 |
発売価格 | 約19,000円 |
Antutuベンチスコア(v8) | 93,000 |
公式サイト | Xperia L4 – Sony Mobile (English) |
▲TOP Xperiaの歴史 – TOP 発売年表 Antutuスコア比較 画面サイズ比較
Xperia 1 II
OS | Android 10 |
SoC (CPU) | Qualcomm Snapdragon 865 2.8GHz / 2.4GHz / 1.8 GHz Octa-Core 64bit (SM8250) |
メモリ | 8 GB |
ディスプレイ | 6.5 インチ 3840 x 1644 ピクセル |
ストレージ | 128 GB |
サイズ | 166 × 72 × 7.9 mm |
重量 | 181 g |
「Built for speed」
Xperia 1の後継機種として発表されたXperia 1 II。
読み方は”エクスペリア・ワン・マークツー”で、これは同社の一眼カメラ「α」シリーズに倣ったものと思われます。
Xperia史上初の5G対応モデルとして、日本を含む世界各国で発売されました。
Qualcomm社の最新CPU Snapdragon 865の採用や、過去最大の8GB RAMの搭載、そしてこれまた過去最大の4000mAhバッテリーを搭載するなど、Xperia 1に引き続き今までで最高のスペックをぶら下げて登場。
そして、先代Xperia 1で方向転換した
「好きを極めた人に寄り添うモデルを作る」
というコンセプトはXperia 1 IIでも引き継がれています。
特に力が入っているのはカメラ性能。
同社のコンデジに採用されているZEISSレンズの採用や、世界初の20コマ/秒のAF/AE追従連射機能に対応した仕様に。
しかし、ここでぜひ注目してもらいたいのは”Photography Pro”というソフトウェア。
これはなんなのかというと、写真撮影時に使うカメラアプリ。
簡単に説明すると、撮影時の細かい設定を手動で微調整しながら撮影できるアプリ。要は、AFやシャッタースピード、レンズ切り替え等の設定を自由に設定できるということ。
標準のカメラアプリとは別に提供されます。
ただ、注目して欲しいのはそこじゃないんです。
このアプリ、スマホらしい”鮮やかな写真”が撮れないんです。
言い方を変えると、見栄えが良い“補正された写真”が撮れず、素材そのままの“加工されていない写真”しか撮れない。
※誤解の無いよう説明しますが、別途標準カメラアプリやポートレート機能等で写真の補正機能はサポートされます。
正直に言うと、一般ユーザーをバッサリ切り捨てた機能。
多くの方は、上の写真の右側のような”装飾的な写真”を好むと思います。
でも一方、一部のコアユーザーには突き刺さる機能なんです。
特に、一眼レフを持ち歩いて写真を撮りまくるようなユーザーにとっては歓喜の機能。
要は、手動設定で自分好みの(ありのままの)写真を撮りたいユーザーをターゲットにしている。
一方で、オート機能を活かして手軽に見栄えが良い写真を撮りたい一般ユーザーにとっては、ただただ面倒くさい機能でしかない。
個人的には、決して一般受けはしないと思います。
でも、ソニーはあえてこの”Photography Pro”を搭載した。
なぜならこれが”Xperiaらしさ”であり、ソニーが想う企業使命であり、そしてスマートフォンのあるべき姿だと考えているから。
一般受けするような機能だけでなく、
「好きを極めたい人々に、想像を超えたエクスペリエンスを」
提供できるよう、徹底的に突き抜ける覚悟で開発されたXperia 1 II。
経験を意味する”experience”と、場所を意味するラテン語の”-ia”を合わせ、「様々な体験を生み出す場所」という意味が込められたブランドネーム。
Xperia 1 IIという機種は、私たちの”好き”に寄り添うべく開発された、
今までで一番「Xperiaらしい」スマートフォンなのかも。
発売日 | 2020年5月 |
発売価格 | 123,000円 |
Antutuベンチスコア(v8) | 565,000 |
公式サイト | Xperia 1 II – ソニーモバイルコミュニケーションズ |
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Xperia 10 II
OS | Android 10 |
SoC (CPU) | Qualcomm Snapdragon 665 2.0GHz / 1.8 GHz Octa-Core 64bit (SDM665) |
メモリ | 4 GB |
ディスプレイ | 6.0 インチ 2520 x 1080 ピクセル |
ストレージ | 64 / 128 GB |
サイズ | 157 × 69 × 8.2 mm |
重量 | 151 g |
「Exceed your smartphone expectations」
グローバルモデルであるXperia 10の後継機種、Xperia 10 IIです。
日本ではXperia 8の後継に該当します。
Xperia 10は日本では発売されなかったものの、まさかの後継機種であるXperia 10 IIは日本でも発売に。
先代Xperia 10の発売から1年でのモデルチェンジですが、
- Snapdragon 665搭載
- ストレージ128 GB化(海外版)
- 背面3眼カメラ搭載
- 本体軽量化
- 大容量バッテリー搭載(3,600mAh)
などなど基本スペックからガラリと変わっています。
まず大きく変わった点を最初に説明すると、Snapdragon 665の搭載と海外向けに128GB ROMを採用した点。
従来のCPUとの比較はコレ。
クロック数が落ちたりQuick Chargeの規格が古くなったりしていますが、CPU・GPUコアの変更や製造プロセスの微細化が進化。
最終的なベンチマークで見ると約2倍にグレードアップしたCPUです。
そもそもSnapdragon 630は2017年に発表されたCPUで、Xperia 10への搭載は少し時代遅れでした。
対するSnapdragon 665は2019年に発表されたCPUで、Xperia 10 IIへの搭載でようやく時代の流れに乗った感が否めない。
海外版はこれに加え、128GB ROM搭載という贅沢仕様なモデル。
昔のXperia Zシリーズ時代は国内向けモデルのみ大容量ROMを搭載していた時期がありましたが、まさかの逆転パターン。
いわゆる「おま国」仕様に…
そんなXperia 10 IIなんですが、開発コンセプトは先代と同様
「好きを極めた方々にしっかり刺さる商品」
と語るのはソニモバ代表取締役の岸田社長。
シネマワイドディスプレイや3.5mmオーディオジャックの採用を見ればこれは明らかなんですが…
一方、実は多く挙がっている声が
「割と使いやすい」
という話。
使いやすい理由は色々あるんだけど、まず注目すべきは”軽さ“。
カタログ重量は151g。これは近年の国内向けXperiaとしては1、2を争う軽さです。
コンパクトモデルであるXperia XZ2 CompactやXperia Aceよりも軽い。
かといって軽量化にありがちな樹脂パネルを採用しているわけではなく、外観のためにしっかりとガラスパネルを採用している。
話は脱線しますが、腕時計の世界では150gという重さは「一般的な重さで着けやすい」と感じるギリギリの重さだったりします。(男性の場合)
150gを超えたあたりからやや重く感じてしまい、気になってしまうそうです。
スマホは腕時計と違って腕に装着するわけではありませんが、Xperia 10 IIは一つの基準として
「重さが気にならないスマホ」
なのかもしれません。
だからといって下のような使い方は難しいと思いますが…
話を戻して使いやすいもう一つの理由は”バッテリー持ち“が良いこと。
なぜか注目されていませんが、近年のXperiaの中ではこれまた1、2を争う電池持ちの良さです。
大きな差はないものの、比較的電池持ちが良いとされるXperia Aceの125時間を超える135時間がカタログスペックに謳われています。
Xperia 1 IIに隠れがちですが、こういった差別化が実はされているんです。
発売日 | 2020年5月 |
発売価格 | 約42,000円 |
Antutuベンチスコア(v8) | 170,000 |
公式サイト | Xperia 10 II – ソニーモバイルコミュニケーションズ |
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Xperia 8 Lite
OS | Android 9 |
SoC (CPU) | Qualcomm Snapdragon 630 2.2GHz / 1.8 GHz Octa-Core 64bit (SDM630) |
メモリ | 4 GB |
ディスプレイ | 6.0 インチ 2520 x 1080 ピクセル |
ストレージ | 64 GB |
サイズ | 158 × 69 × 8.1 mm |
重量 | 170 g |
キャッチコピーは、「極上のエンタテイメントをより身近に」
国内専売であるXperia 8の後継機種、Xperia 8 Liteです。
正確には、後継機種というよりかは廉価版(ベストプライスモデル) にあたります。
なぜ廉価版なのかというと、スペックがXperia 8とほぼ変わっていないから。
それでいて価格は半額以下になっています。
機種 | Xperia 8 Lite | Xperia 8 |
OS | Android 9 | |
SoC (CPU) | Qualcomm Snapdragon 630 2.2GHz / 1.8 GHz Octa-Core 64bit (SDM630) | |
メモリ | 4 GB | |
ディスプレイ | 6.0 インチ 2520 x 1080 ピクセル | |
ストレージ | 64 GB | |
サイズ | 158 × 69 × 8.1 mm | |
重量 | 170 g | |
バッテリー | 2870 mAh | 2760 mAh |
ハイレゾ再生 | LDAC | DSEE HX / LDAC |
価格 | 約 27,000円 | 約 59,000円 |
今までこういった機種はXperiaにはありませんでしたね。
Xperiaの販売戦略における、一つの転換点かもしれません。
ちなみに外観は先代Xperia 8から変わらず。
公式サイトの画像を比較しても違いは全く見つかりません。
画像をコピーしているわけじゃありませんよ?
外観上の違いはカラーバリエーション程度です。(Xperia 8は4色 Xperia 8 Liteは2色)
そうですね…両者の一番大きな違いは、販売路線かもしれません。
Xperia 8は、auやUQ mobile、Y!mobileといった比較的大きなキャリアから発売。
一方Xperia 8 Liteは、IIJmioやmione、nuro mobileといった(上記と比べると)小規模なMVNOからの発売です。
- Xperia 8の場合…
- Xperia 8 Liteの場合…
キャリアとMVNOの力の差というか…
SONYも”色々な配慮をして”Xperiaを販売させてもらっているのかもしれませんね。
発売日 | 2020年9月 |
発売価格 | 約27,000円 |
Antutuベンチスコア(v8) | 100,000 |
公式サイト | Xperia 8 Lite – ソニーモバイルコミュニケーションズ |
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Xperia 5 II
「BUILT FOR SPEED MADE COMPACT in 5G」
Xperia 1 IIのコンパクトモデルとなる機種。
サイズが小さくなったこととディスプレイスペックが異なる以外はXperia 1 IIとほぼ同じになります。
機種 | Xperia 5 II | Xperia 1 II |
OS | Android 10 | |
SoC (CPU) | Qualcomm Snapdragon 865 2.8GHz / 2.4GHz / 1.8 GHz Octa-Core 64bit (SM8250) | |
メモリ | 8 GB | |
ディスプレイ | 6.1 インチ 2520 x 1080 ピクセル | 6.5 インチ 3840 x 1644 ピクセル |
ディスプレイリフレッシュレート | 120 Hz (疑似240 Hz対応) | 90 Hz (Max.) |
タッチスキャンレート | 240 Hz (Max.) | 120 Hz |
ストレージ | 128 / 256 GB | |
静止画撮影 | 12 MP ZEISS T* Tripleレンズ 3D iToF | |
動画撮影 | 4K HDR in 120fps | 4K HDR in 60fps |
サイズ | 158 × 68 × 8 mm | 166 × 72 × 7.9 mm |
重量 | 163 g | 181 g |
バッテリー | 4000 mAh | |
価格 | 約 109,000円 | 約 123,000円 |
コロナ禍の2020年9月17日、YoutubeのXperia公式チャンネルにて発表されたXperiaです。
2019年10月に発売されたXperia 5の後継機種にあたります。
注目したいのはゲーミングSPECかと。
120Hz駆動ディスプレイや240Hzタッチスキャンレートが大々的にアピールされています。バッテリーを消耗するため多用は控える必要がありますが、主要な設定はゲームエンハンサーにて変更可能です。
ちなみにディスプレイリフレッシュレートは、黒画面を間に挟むことで疑似的な240Hz表示(残像低減)にも対応しています。
音ゲーやレースゲーにうってつけですね。
SPECだけ見れば、ASUSの液冷式ゲーミングスマートフォン ROG Phone2や、SHARPのAQUOS zero 5G basicシリーズと同等。
しかしXperiaシリーズはPS4のDualshock4を接続できることを考えると、Xperia 5 IIはゲーミングスマホとして唯一無二のSPECを有しています。
ちなみにこのXperia 5 II、CALL OF DUTY MOBILE 2020年世界大会のオフィシャルスマートフォンに選ばれている。
今までゲームとコラボしたXperiaはあれど、特定のゲームのオフィシャルスマートフォンに選ばれることは無かったかと思います。
というか、全世界のスマートフォンを探してみても、こんなことってほとんどないんじゃないかな…
ゲーミングPCではこの手の話はよくありますが、スマートフォン業界ではかなり珍しいと思います。
その他、ゲーム中のパフォーマンス低下防止のためのヒートマネジメントシステムを搭載。
充電中のオーバーヒートを抑止する初の機能を搭載しています。
「熱を持ったらファンで冷やせ!」
なんて原始的な考えとは違うようですね。
ちなみに管理人は以前、この原始的な考えを実行してしまったことがあります。結果はお察し
話を元に戻します。
ゲーミングの話でしたね。
最近のXperiaはゲーミング性能にこだわっているようで、ご存知ゲームエンハンサー機能の搭載や、プロe-sportsプレイヤーと共同チューニングを実施するなど、かなり本気でゲーミングスマホの地位を奪取しに来ている。
しまいにはこんな特設サイトもあったり。
「ファイナルファンタジー○○ 推奨ゲーミングXperiaのご紹介」
「荒野行動 オフィシャルXperia」
…なんて日が来たり来なかったり。
ゲームに重要なAntutuスコアはXperia 1 IIと横並びなんですけどね。
とは言っても、スペックは1世代前のXperiaと比べるとめちゃくちゃ上がっています。
詳細は割愛しますが、HD画質の動画再生にヒーヒー言っていた頃とは比べ物にならない。
ちなみにキャリアの発売から遅れること7か月、2021年5月にはソニーストアからSIMフリー版が発売されました。
主な違いはストレージ容量と対応バンド。
ストレージがキャリア版の倍の256GBに、対応バンドはSIMフリーモデルらしく国内4キャリアの4Gをほぼカバーする形に。
5Gにも対応しているものの、楽天モバイルのバンドn77には対応していません。
というかSIMフリー版の登場遅すぎる気がしますね。
このタイミングで既にXperia 5 IIIが公式発表されています。
発売日 | 2020年10月 |
発売価格 | 約109,000円 |
Antutuベンチスコア(v8) | 565,000 |
公式サイト | Xperia 5 II – Sony |
▲TOP Xperiaの歴史 – TOP 発売年表 Antutuスコア比較 画面サイズ比較