あなたは、HDDが壊れた経験はあるだろうか。
私は、ある。
秘蔵の動画(約2TB)が消えてしまった悲しみは、マリアナ海溝よりも深かった…
なぜ壊れるのか。いつ壊れるのか。壊れにくいHDDはあるのか。
本ページでは、HDDの寿命や故障率について徹底的に解説していきます。
HDDの寿命は?
パソコンやテレビ、ゲーム機など、数多くの機器に使用されているHDD。
寿命は一体どれくらいなのでしょうか。
使用頻度や環境、製造メーカー等の条件により変化するため、一概に寿命を言うのは難しいですが…
ざっくりとした目安としては、約3年~4年程度と言われています。
これは、実際の統計によるもの。
四半期ごとにHDDの故障率を調査しているBACKBLAZE社の統計によると、使用から3年を超えたHDDの故障率は約11.8%に上るそうです。
HDDメーカー各社も、保証期間を3年に設定している場合が多いようです。
ちなみに、このページを書いている管理人のHDDも3年で壊れました…
HDDはなぜ、こんなにもすぐに寿命を迎えてしまうのでしょうか?
寿命を迎える原因
起動回数
起動回数が多いと、HDDはすぐに寿命を迎えてしまいます。
通常、HDDのデータを読み取る”ヘッド”と呼ばれる部分は、回転するディスクプラッタの空気の力で、わずかに浮いた状態になっています。
しかしHDDの電源をOFFにすると、ディスクプラッタの回転が止まり、ヘッドがディスクプラッタに接触してしまいます。
ヘッドはディスクプラッタ上のデータが記録されている部分と直接接触はしません。しかし、繰り返し電源ON/OFFを繰り返すとヘッドが摩耗し、研磨粉が発生してしまいます。
これが寿命を縮める原因になってしまうのです。
ちょっと詳しい話 – 最近のHDDについて
少し詳しい方向けに補足。
上で説明した起動回数は、CSS方式のHDDのお話。要は、電源OFF時にディスクプラッタとヘッドが擦れる場合のお話です。
一方、最近のHDDは”ロード/アンロード方式”を採用しています。
この方式のHDDの場合、「起動回数」ではなく「ロード/アンロード回数」が寿命に関係します。
例えば、SeagateのHDDを例にしてみると…
公式HPにロード/アンロード回数の最低保証値(設計値)が記載されています。
上の表では、Load/Unload Cyclesが”300,000″となっています。
つまり、このHDDのロード/アンロード回数は30万回を設計値にしているということ。
これに対して筆者のHDDの状態は…
約3万回です。
ちなみにこのHDDは使用開始から約7年経過しています。
おおよそ「1日に1回PCを起動する」使い方をしているため…
このペースで使い続けると、残り約59年使用できる計算になりますね。
…いや、絶対それまでに壊れると思いますが。
稼働時間
HDDの稼働時間も、寿命のひとつの目安になります。
先ほどご紹介したBACKBLAZE社の統計によると、1年365日/24時間フル稼働させたHDDは、稼働3年目以降から急激に故障の確率が高くなるとのこと。
これを時間に換算すると、約26,000時間。
単純比較はできませんが、平均で1日10時間PCを使うと仮定すると、約7年間で寿命が来ることになります。
メーカー・グレードによる寿命の違い
メーカーやグレードの違いは、寿命の違いに繋がります。
特に、グレードの違いは寿命に直結します。
例えば、老舗HDDメーカーのWesternDigitalの場合。
一般向け上位グレードの”WD Red”と、企業向けグレードの”WD Red Pro”を比較してみましょう。
基本スペックに大きな差はありません。
しかし、注目すべきは「ワークロード率」。
これは、簡単に言うとデータ転送量の設計値のこと。
一般向けに対し、企業向けのWD Red Proは約1.7倍の耐久性が考慮されています。
このように、同じメーカーでもグレードによって設計値が異なるため、寿命に差が発生するんです。
ちょっと詳しい話 – メーカー・グレード別の故障率統計
ここでもまたBACKBLAZE社の統計をご紹介。
今回はメーカー・グレード別の故障率統計です。
グレードを”企業向け”と”一般向け”に大別しています。
ご覧の通り、企業向けグレードの故障率は一般向けと比べて軒並み低いです。
また、メーカーにより故障率に多少の差があることがわかります。
一部では、
「Seagate製のHDDは壊れやすい!」
なんて声もありましたが、一般向けHDDの中ではむしろ優秀な部類。
グレードを理解していない方々が、数字だけ見て騒いでいるだけかと思われます。
ちなみにグレード分けしていない表は以下の通り。
これだけ見ると、Seagate製は壊れやすいというイメージが湧くかもしれません。
実際はそんなことは無いんですけどね…
ただし、過去にSeagate製のHDDが大量に故障した事件がありました。(通称:7200.11不具合)
これは2000年代の話でしたが、「Seagate製のHDDは壊れやすい!」という方は当時の感覚のまま話をされているのかもしれませんね。
購入すべきHDDは?
故障の少なさでいえば、HGST製か東芝製のHDDを購入すべきですが…
ただし、それは企業向けグレードの話。
予算に余裕があればそれでもよいでしょうが、一般ユーザーであればSeagate製のHDDで問題ありません。
何も考えず、「壊れにくそう」だけでHGST製や東芝製を購入するのは、お金の無駄遣いとしか言いようがないかと。
これは本ページにもいえるかもしれませんが…
あまりインターネットの情報を鵜呑みにしないように。
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