その日、唐突にあらわれたSnapdragonは、携帯電話の常識を変えてしまった。
2007年11月、Snapdragon初の製品「Snapdragon S1」が出荷されたのだ。
独自コア「Scorpion」を搭載したSnapdragon S1は、CPUクロックがたったの1GHzだった。
それでも、当時は驚くべきスペックだった。
競合他社を突き放すスペックだったSoCは、携帯電話メーカーがこぞって採用するほどだった。
日本ではQSD8650を東芝T-01Aが採用した。
これ以降、競合他社が真似できないSoCを出荷し続けたQualcommは、携帯用チップメーカーのリーディングカンパニーとなった。
日本はQualcommに対抗すべく、NTTや富士通、NECの共同出資会社から国産の「SAKURAチップ」を出荷したが、Snapdragonの足元にも及ばなかった。
Qualcommのモデム統合技術を超えられなかったのだ。
その後、共同出資会社は清算されている。
Snapdragon S1 Specification
当時としては驚異的な※1.0GHzのCPUクロック。
モデムとCPUを統合し1チップで出荷できるQualcommの技術力は、Snapdragonの一人勝ち状態を作り出した。
※例えば、同時期に発売されたHTCのスマートフォン「X01HT」に搭載されているSamsungのCPUクロックは、たったの400MHzだった。
Process rule | 65 nm |
Architecture | ARM11 / Scorpion |
CPU clock | 1.0 GHz (Max.) |
CPU core | 1 |
Release | 2007 |